毎年10月12日の夜は、池上駅から池上本門寺の門前まで、露店と練り万燈が埋め尽くす、とても賑やかな夜だ。
今年、2020年の10月12日。コロナウィルスの影響で万燈練供養は中止になった。石段の下から見上げた池上本門寺は一見、普段と変わらない静かな夜のように見えた。
石段を登って近づく。大堂がいつもより明るいのがやっと分かる。

門前のお堂も今夜は明るい。

そして聞こえて来る太鼓の音とお経。
大堂の前に万灯が1本だけあった。
大堂の中は明るく、お経と太鼓の音が響いていた。明け方までお経を続けるんだそう。
大坊の方へ降りる階段。
暗闇の中、頭上の提灯を頼りに歩く。森の中、付近の塔頭からお経が聞こえてくる。現代の東京とは思えない空間。中世にタイムスリップしたような気分。

大坊。日蓮上人のまさにご臨終の地とのことで、こちらでもお経が読み上げられていた。

たくさんの人々-たぶん檀家さん達が、お堂で聴いていた。
お経と太鼓で大音声だった大堂とは違い、こちらはお葬式やお通夜で感じるような、供養の雰囲気を感じた。
日蓮上人をしのぶための法要が、いつから露店賑わうお祭りになったのかはよく知らない。いつものお会式の日はただ露店で遊んで、供養であることに思いを馳せる事なんてなかった。
「しめやか」そんな言葉が似あうと思いながら、普段のお会式の時には、大混雑で近寄ることもできない本門寺の周りを歩いた。
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