青いドレスの少女/復活の日【読後感想】

感染症の流行をモチーフにした小説を2冊読んだ。どちらもとても入念に取材されて書かれているのだろう。主人公たちの言動やその周囲に起こる出来事の描写に、その時代ならではの雰囲気を感じた。一方は1830年代のイギリスを、もう一方は1960年代の世界を描いたものだ。

青いドレスの少女

物語の舞台は19世紀のイギリスの地方都市・サンダーランド。コレラが流行の兆しを見せる。

主人公ガスティンは10代の少女であり、昼は陶工の労働者として、夜は娼婦として、しょうがいを持って生まれた赤ん坊を養うために、劣悪な環境で懸命に生きている。

娼婦としての衣装は、大家から借り受けた青いドレス。コレラの患者は青白くなって亡くなっていくことから、青は本作中でコレラの象徴としても描かれる。

当時、とくに外科医術は労働者層からは恐れられていたのだろう。手遅れになっても治療を拒む貧民街の民衆。外科治療の進歩を望み解剖遺体を集めようとして、群衆のリンチに遭う医師。当時に生まれなくてよかったと21世紀の私は思う。

コッホによりコレラ菌が発見されるのは、この物語で描かれた年の約50年後のことだ。

検疫のため停泊中の船内で蔓延するコレラ、検疫よりも経済活動を優先させるために、コレラの流行を認めない地元議会。約190年後の今回のコロナウィルスの流行でも、似たようなことが起こったなあ。

復活の日

1960年代の世界。けっこう詳細なあらすじがWikipediaに載っているほど有名な小説。

冷戦時代、近い将来に核戦争で世界が滅んでしまうと信じていた人が多かったと聞く。その当時の空気を知らない世代には信じられないことだ。でも、この小説を読むと、世界が滅んでしまうかもしれないと人々が信じたのが少し分かる。

色々なバランスや回避のおかげで世界は滅びなかったけど、ひとたび世界がバランスを崩していたら、アメリカとソ連が競って作った核弾頭や中性子爆弾や生物兵器が、次々と世界中の人々に向けられていたのかもしれない。

改めて20世紀はすごい時代だったんだな。

 

2020年のコロナウィルスによる一連のことは、将来、きっと小説の題材になるだろう。どんな側面が小説に描かれるだろう。19世紀とも、20世紀とも違う今はどんな時代として、後から振り返られるか楽しみだ。

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