東京国立近代美術館のピーター・ドイグ展に行って来た。雨の日。

ピーター・ドイグの絵の中の風景は、私たちの住んでいる世界の風景にちょっと似ているけど、まったく同じではなくて、例えば夢の中や、小説の中で感じるような、少し違う世界の風景を見ている感じした。
「ちょっと違う世界を描いた絵」は、見ていてなんだか怖くなることがある。子供のころ、ムンクの「叫び」は怖くて吸い込まれそうに感じていた。怖く感じた絵のいくつかは夢に出て来た。
ピーター・ドイグの絵は、例えば森が赤系の色で塗られたりしていて、普段は「怖い絵」と思ってしまうような要素がある。
にもかかわらず、なぜか怖くなくて、子どもの頃に読んだおとぎ話の国にいるような暖かい感じがした。
陽気だけど楽しすぎず、静寂も感じるような風景。
異世界な感じを演出する技巧の解説も、読んでいて面白かった。雪景色を描いているというより、まるでキャンパスに雪が積もっているように描いてあるんだとか、暗色の木々の向こうに眩しい白い建物を書くことで、暗色の木々が、見る人と絵の間にスクリーンがあるように感じさせているとか。
展覧会の最後には、ドイグによる映画のポスターが並ぶ。
音声ガイドは女優ののんさんがやっているそうだ。借りてみればよかった。
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