【ノーベル医学・生理学賞】大隅先生「人と違うことを」

「人と違うことをやる」大隅先生がどういう背景でおっしゃったのかは存じませんが、脚光を浴びる研究ではなかった時代もあったのかもしれません。生物分野の端くれにいた私ですら、この分野で華々しいのは、古くはセントラルドグマ(DNAが持つ遺伝情報をタンパク質に変換するのはどういう仕組みか)、そして様々な生物のゲノムの解明、そして再生医療、作りそこなったタンパク質がどういう風に片づけられるのかということに興味を持つ人はあまり多くなかったのかも、という風に思えます。

ざざっと読んだだけですが、大隅先生の研究は、どんな遺伝子たちが、どんな風に細胞の中で不要になったタンパク質を見つけて、囲って分解して、リサイクルしているのかということ。
遺伝子という生命の設計図にどんなことが書いてあるのかは分かっても、それを基にタンパク質が現れて、働いているところを見るには、生きている細胞を観察するしかない。いつその遺伝子が働き始めて、他のどんな遺伝子と協働し、どんな仕事をし、どんな風に調節されるのか。生きている細胞を色々な条件に置いて観察したのでしょう、また細胞から目的の遺伝子だけを取り出して動かして見たこともあるでしょう。実験手法が発達した現代でも、やはりその労力はとてつもなかったと思います。たくさん協力者もおられたことでしょうし、先生のリーダーシップもあったのでしょう。
とかく、すぐに「それが、人々の健康にどういう風に役立つのか」「どういう薬の開発につながるのか」ということが言われやすい分野。けれどそういう研究のみがされるのは、知の蓄積という意味でも、そして次世代の発明の源泉としても、創造的ではないと思います。周りとと違うことをやりぬいたこと、改めて素晴らしいと思います。

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